押さえておくべき視点


平家の天下より悪いかも知れぬ

「が僧都の御房の天下になれば、何御不足にもありますまい。」 俊寛様の御眼の中には、わたしの微笑が映ったように、やはり御微笑が浮びました。「成親の卿の天下同様、平家の天下より悪いかも知れぬ。何故と云えば俊寛は、浄海入道より物わかりが好い。物わかりが好ければ政治なぞには、夢中になれぬ筈ではないか? 理非曲直も弁えずに、途方もない夢ばかり見続けている、――そこが高平太の強い所じゃ。小松の内府なぞは利巧なだけに、天下を料理するとなれば、浄海入道より数段下じゃ。内府も始終病身じゃと云うが、平家一門のためを計れば、一日も早く死んだが好い。その上またおれにしても、食色の二性を離れぬ事は、浄海入道と似たようなものじゃ。そう云う凡夫の取った天下は、やはり衆生のためにはならぬ。所詮人界が浄土になるには、御仏の御天下を待つほかはあるまい。――おれはそう思っていたから、天下を計る心なぞは、微塵も貯えてはいなかった。」外壁塗装 東京
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