押さえておくべき視点


それはさぞかし御難儀だったでしょう

「それはさぞかし御難儀だったでしょう。御食事は勿論、御召し物さえ、御不自由勝ちに違いありませんから。」「いや、衣食は春秋二度ずつ、肥前の国鹿瀬の荘から、少将のもとへ送って来た。鹿瀬の荘は少将の舅、平の教盛の所領の地じゃ。その上おれは一年ほどたつと、この島の風土にも慣れてしまった。が、忌々しさを忘れるには、一しょに流された相手が悪い。丹波の少将成経などは、ふさいでいなければ居睡りをしていた。」「成経様は御年若でもあり、父君の御不運を御思いになっては、御歎きなさるのもごもっともです。」「何、少将はおれと同様、天下はどうなってもかまわぬ男じゃ。あの男は琵琶でも掻き鳴らしたり、桜の花でも眺めたり、上臈に恋歌でもつけていれば、それが極楽じゃと思うている。じゃからおれに会いさえすれば、謀叛人の父ばかり怨んでいた。」生命保険 比較
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