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それから名物だ、と云って

 それから名物だ、と云って扇屋の饅頭を出して、茶を焙じる手つきはなよやかだったが、鉄瓶のはまだ沸らぬ、と銅壺から湯を掬む柄杓の柄が、へし折れて、短くなっていたのみか、二度ばかり土瓶にうつして、もう一杯、どぶりと突込む。他愛なく、抜けて柄になってしまったので、
「まあ、」と飛んだ顔をして、斜めに取って見透した風情は、この夫人の艶なるだけ、中指の鼈甲の斑を、日影に透かした趣だったが、
「仕様がないわね。」と笑って、その柄を投り出した様子は、世帯の事には余り心を用いない、学生生活の俤が残った。
 主税が、小児衆は、と尋ねると、二人とも乳母が連れて、土産ものなんぞ持って、東京から帰った報知旁々、朝早くから出向いたとある。
「河野の父さんの方も、内々小児をだしに使って、東京へ遊びに行った事を知っているんですから、言句は言わないまでも、苦い顔をして、髯の中から一睨み睨むに違いはないんですもの、難有くないわ。母様は自分の方へ、娘が慕って行ったんですから御機嫌が可いでしょう、もうちっと経つと帰って来ます。それまでは、私、実家へは顔を出さないつもりで、当分風邪をひいた分よ。」
 と火鉢の縁に肱をついて、男の顔を視めながら、魂の抜け出したような仇気ないことを云う。
ゴーヤ茶を通販しています 「野菜だより」学研の家庭菜園誌
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