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呶鳴られて船頭は

 呶鳴られて船頭は棹《さお》をとった。混み合っている中であるから、思うように棹を張ることは出来なかったが、
それでも一間ほどは横に開いたので、桟橋に取り残された万力はあっ[#「あっ」に傍点]と驚いた。腰の物を取られたからである。  武士は勿論、力士が腰の物を取られるのも、決して名誉のことではなかったが、更に万力をおどろかしたのは、その刀は十万石の抱え屋敷から拝領の品であった。それを失っては、屋敷へ出入りすることが出来なくなる。それを思うと、万力は顔の色を変えてうろたえた。あっ[#「あっ」に傍点]と云っても、もう及ばない。相手の船は一間あまりも開いてしまったので、大兵肥満の彼は身を跳らせて飛び込むことは出来ない。彼は実に途方に暮れた。  その騒ぎに由兵衛も後戻りをして来たが、これもどうすることも出来ない。こうなったら謝《あやま》るのほかはないので、由兵衛は早くあやまれと万力に注意して、自分も口を添えて詫びた。万力も幾たびか頭を下げて平謝りにあやまった。こっちの弱味に付け込んで、相手はこの刀を大川に投げ込むぞとおどした。投げ込まれては大変であるから、万力は殆ど泣かぬばかりに弱り切って、結局は桟橋に両手をついて謝った。早慶個別スクール -小学生・中学生・高校生- 塾・学習塾・予備校|塾選びなら塾ナビ

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