2012年12月07日 17:05:13
もう幾度も引合いに出した、東京監獄のあの死刑囚の強盗殺人君も、その一人だ。
巣鴨では例の片輪者の半病監獄にいたのだから、さすがにそういうのには出遭わなかったが、それでも裁判所の仮監で同じ巣鴨の囚人だというそれらしいのに会った。
長い間仮監で待たせられている退屈しのぎに、僕は室の中をあちこちとぶらぶら歩いていた。そこへ看守が来て、動かずに腰掛けてじっとして居れと言う。裁判所の仮監は、あの大きな建物の地下室にあって、床がタタキでそこに一つ二つの腰掛が置いてある。が、長い間木の腰掛に腰掛けているのは、臀が痛くもあり退屈もするので、そんな時には室の中をぶらぶらするのが僕の常となっていた。そしてそのために今まで一度も叱られたことはなかったので、ただちに僕は、その看守と議論を始めた。ついにはその看守があまり訳の分らぬ馬鹿ばかり言うので、ほかの看守等がみな走って飛んで来たほどの大きな声で、その看守を罵り出した。それがその時一緒にいたもう一人の囚人に、よほど気に入られたらしい。
金沢区 歯科 B食倶楽部 - ひとつの考えに固執しない
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