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もしもし、三根夫さま

「もしもし、三根夫さま」かれはうしろから呼ばれた。  誰だろうと思ってふりかえったが、誰もいない。しかしかれはもうこの頃は勘ができて、姿は見えなくても、そこにはぜんぜん誰もいないのか、ガン人がそこにいるのかを感じわけることができるようになっていた。 「ああ、そうか。きみはハイロ君ですね。サミユル博士のところにいるハイロ君でしょう」 「はっはっはっ。そうですよ。あなたのおいでを待っていたのです」 「どうかしましたか」 「じつは、わたしはおり入ってあなたにおねだりしたいものがあるんです。さっそく申しますが、先日お持ちになっていた白い小さい、目の赤いねずみですな、あれをわたしにゆずっていただけないでしょうか。お待ちください。あのようなめずらしい貴重な生物をば、ただでくださいとは申しません。それと交換に、あなたの欲しいと思っているものをさしあげます」 「ふーむ、あの南京ねずみをねえ」

 

 

痩身 渠成って水至る

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