ログイン
英会話| 婚活| 北海道専門学校| 東北専門学校| 東海専門学校| 沖縄専門学校| ホームページ制作| 2万円HP制作|

そういう間にも、その男は

そういう間にも、その男は金縁の眼鏡の奥から、おせいの様子をちらりちらりと探るように見た。優しいかと思うときゅうに怖くなるような眼だった。 「で、その金を借りだしてどうなさろうというのかな」  父は書類を取り上げながらこう尋ねた。待っていたと言わんばかりに、その男はまた折鞄の中から他の書類を取りだした。 「それがこれになろうと言うんです。これがまた偉いもんですぜ。胆振国長万部字トナッブ原野ですな。あすこに百町歩ほどの貸下げを道庁に願いでて、新たに開墾を始めようというんです。今日来がけにちょっと道庁に寄っていただいたが、その用というのがこれです。たいていだいじょうぶ行きます。……何しろあの若さでこれだけの事をやり上げようというんだから……若さといっても四十だが、なあに男の四十じゃあなた、これから花というところです。やあ、どうも話がわき道に外れちゃったが、どうでしょうな、お嬢さんのお考えは……ただどうも問題になりそうなのは年のちがいじゃあるが」  と、まともにおせいの方を見て、 「あなたが三十におなんなさる時を思やあ、むこうはやっと四十九だ。ちょうどいいつり合いになりまさあ。どうも男って奴は、これで五十やそこらのうちに細君が四十だ四十一だなんてことになると、つい浮気になりたがるものですよ。……ねえお父さん、お互にまんざら覚えのないことでもないしさ」

 

葛西 歯科 妄想テンコ盛り情報局

記事URL
1 |2 |次へ>> 

カレンダー

<< 2012年05月 >>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

テーマ

プロフィール

コメント

管理画面へ