24年3月に発行したPTA新聞で
沖縄水産高校、海洋技術科 実習船部の大屋先生の記事を
紹介したいと思います。
とてもいい内容なので、保護者の皆様、また県内の中学生の皆さんにも
読んでいただけたらと思います。
「生活支える船員たち」琉球新報 教育欄より
「みなさんの周りにあるものが、何で運ばれてきたか知っていますか」
新入生や保護者に一番初めにする質問である。
正解は〝船〟。
沖縄県は海に囲まれているため、実に99%が船で運ばれている。
わが国も世界的に見れば島国であることから99・7%が船である。
飛行機輸送では莫大なお金がかかり少量しか運べない。
大量の荷物をより安く輸送でき、最も省エネルギーで環境にやさしいのが
船なのである。3月11日の震災のときも陸路は寸断され、
緊急物資の運搬に活躍したのが船であった。つまり、緊急時をはじめ、
私たちの生活を陰で支えているのが船であり〝船員〟なのだ。
しかしながら、国内を航海する船員の平均年齢は45歳を越え、
10年後には約4500人の船員が不足するというデータが示されている。
残念ながらそのことを知る人は少ない。
船員は不況の時代でも将来においても求人が
なくなるということはない職業なのだ。
国内においては、半日から長くて2日程度の短い航海が主流で、
3カ月船内で働いて約1カ月間の長期休暇が確保されている。
また沖縄県の平均年収が約200万円というなかで、
20代前半の船舶職員(航海士・機関士)は2.5~3倍の年収が保証される。
若者にとってはなかなか良い労働条件である。
このような「船・船員の重要性」「魚を採る漁船だけが就職先ではない」と
いうことを知り、海上物流に魅力を感じ船員を目指す生徒は多い。
見事、夢を叶えた卒業生たちの会社担当者からは、
「沖縄の子供たちは親孝行ですね。みんな親に仕送りしていますよ。
これは県外の子供たちには余り見かけないことです」と聞かされた。
日ごろから育ててもらった親への感謝の気持ちを忘れないということを
忠実に守っている卒業生が誇らしく思えた。
(琉球新報 一月六日付)