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家庭教育のヒントになれば

05
October

広報の吉田です。

以前、早稲田大学人間科学学術院、

医学博士の前橋 明教授に取材を申込み

高P通信に掲載した内容を紹介します。

 

 

 

学力低下の原因は生活リズムの中にある!?

 

 学力向上を目指して小学校から様々な取り組みを

行ってきた沖縄県ですが、二〇一二年八月に新聞で

発表された学力テストでは全国最下位という結果でした。

 

その責任は実は私たち大人にあるのかもしれません。

単純に勉強時間を増やすだけで、

子どもの学力は伸びるのでしょうか。

私たちは他に要因があることをずっと見逃してきている

ことに気づかなければいけません。

 

 

 

 

「毎日だるい」はいつから?

 

高校生の子どもをもつ私たち保護者や

指導する先生方の心配ごとの一つに、

子ども達の進路があります。

大学へ進学し、自分が目指したいものを見つけて

一心不乱に頑張って欲しいと誰もが願っているでしょう。

 

 しかし、どのくらいの子ども達が充実した高校生活を

送っているでしょうか。

「午前中は眠くて授業に集中できない」

「学校では毎日だるい」「学校が終わると元気になってくる」

「夜は0時を回っても眠くならない」

そんな子ども達がたくさんいるのではないでしょうか。

そんな状態で高校3年間を過ごすと進学や就職はどうなるのでしょうか。

 

 

 では、子ども達はいつからそんな状態になったのでしょう。

高校へ進学してからなのか、それともそれ以前の

小学校時代からそうだったのか、思い出してみてください。

 

 

 

沖縄県の子どもは幼少期から生活リズムが狂い始めている。

 

 長年、子どもの健康福祉学、幼児体育、福祉教育の研究に携わり、

幼少児の健康・生活実態調査を全国的に展開している、

早稲田大学人間科学学術院、医学博士の前橋 明教授は

年に数回沖縄に訪れ、県や市町村主催の講演会等で

「子どもの心とからだが危ない」と訴えています。

 夜9時を過ぎてもショッピングモールやスーパー、居酒屋、

カラオケ店、レストランやファーストフード店等に

子連れで訪れる大人の多さに危機感を感じ、前橋先生は

警鐘を鳴らしています。

 幼児の寝る時刻を調査したところ、福島県、秋田県では

夜10時以降の就寝は10%以下という結果に対し、

大阪府、高知県、沖縄県では50%を超えています。

 

 また、外で体を動かして遊ぶ時間も減り、

幼少期のころからテレビを見たりゲームをしたりする時間が

長くなってきていること、車での通学が増え徒歩で

学校へ行く機会も奪われる等、運動する時間も減っていることも、

前橋先生の調査で分かってきました。

子どもの寝る時間と運動、学力はどう関係しているのか、

前橋先生のお話を詳しくまとめて紹介していきます。



 

数値で示さないと伝わらない

 

 子ども達の学力や体力の低下を防ぐためには、

生活習慣を整え、良い生活リズムを繰り返すことが大切です。

そのためには

①睡眠と食事に家庭の協力が必要。

②運動の実践には学校の協力が必要。

要するに家庭と学校がスクラムを組んで

健全育成に取り組まなければなりません。

 

 しかし、私たちは子どもが保育園や幼稚園に通う頃から

「早寝、早起き、朝ごはん」の標語を良く耳にしてきましたが、

それが学力とどう関わってくるのか、子どものからだに

どのような効果が表れるのか、

詳しく知ることはなかったように思います。

前橋先生は、その裏付けをとるための調査をし、

数字で分かりやすく紹介しています。

中学2年生218名を調査対象として就寝時刻別に

9教科の評定点数の合計を比較したグラフで説明しています。

 

 

 

 

生活習慣と学力との関係

 

 就寝時刻別にみた9教科の評定では23時から0時前に

寝た子が成績が良いようです。

一夜漬けや徹夜で頑張っても成績はさほど

伸びないことが分かります。

また、睡眠時間が7~9時間未満の子は成績が良く、

それより短すぎても長すぎても学力に期待がもてない

傾向があることも分かりました。

 
 
 
次のグラフは生活と体力・学力との関係を示したものです。
 
〈朝食と学力〉
朝食と学力
●朝食を毎日食べている生徒は、食べていない生徒より評定が高い。
 
 
 
 
 
〈夕食と学力〉
夕食と学力
●毎日夕食を食べている生徒は、食べていない生徒より評定が高い。
 
 
 
 
 
〈部活動と学力〉
部活動と学力
●日中に心とからだを動かす活動の機会が適度にある生徒は、
部活動をしていない生徒より評定が高い。
 
 これらの結果から、食事(栄養)・運動・睡眠(休養)、
つまり生活習慣とそのリズムの重要性を私たち保護者が、
しっかり認識することが大切ではないでしょうか。
次は生活リズムが乱れる原因についてまとめていきます。
 
 
 
睡眠リズムが乱れると、どのような悪い連鎖が起こるのか?
①就寝の遅れ・短時間睡眠 (睡眠リズムの乱れ)
②朝食の欠食 (摂食リズムの崩れ) 
③午前中の活動力低下・運動量の減少 (体力の低下)
④自律神経の機能の低下 (昼夜の体温リズムの乱れ)
前橋先生はこの4つの流れを挙げています。
体温リズムとホルモンの分泌
 まず、体温を下げて眠らせてくれる脳内に分泌されるホルモン、
メラトニンの出る時間帯がずれてきます。
そして、体温を上げ、からだや脳を目覚めさせてくれる
β-エンドルフィンやコルチゾールが分泌される時間もずれ、
お昼を過ぎた頃から脳が目覚めてきます。
夜になると元気になりエネルギーをもて余し、
夜に街に出るという行動に出てしまいます。
早朝から午前中にかけては、脳温を下げて眠っているので、
学校には行けません。
行っても、午前中の学校の授業では眠く、だるくなります。
教師がいくら解りやすい授業をしても無駄になってしまいます。

 こんな状態が続けば、子どもは学校の授業は分からない、
午前中はだるくて眠くて疲れているので友達と楽しく過ごせない、
学校がつまらなくなって不登校・ひきこもりの原因に
なってしまうことを示唆していました。
 
 

睡眠リズムが乱れると
■朝食の欠食(摂食リズムが崩れる) 
■午前中の活動力低下・運動量の減少
 (体力が弱まる) 
■自律神経の機能の低下
 (昼夜の体温リズムが乱れる)
■ホルモン分泌の乱れ
■体調不良
 (精神不安定に陥りやすい)
■学力低下・体力低下・不登校・暴力行為
 
 前橋先生は、「自律神経は生きる力そのもの」
「自ら考え、自ら主体的に行動する、そういう子どもを育てたい。
しかし、自律神経がしっかりしていないと、
そういう子どもが育つことはできない。」と訴えています。
 
 
1点突破 全面改善のための知恵
 では、どうやってこの状態から抜けたらいいのでしょうか。
前橋先生は次の4点を掲げています。

■生活は1日のサイクルでつながっているので、
生活習慣(生活時間)の1つが悪くなると、他の生活時間も
どんどん崩れていきます。
逆に生活の節目の1つが改善できると、
他のことも良くなっていくというロマンがあります。

■朝の光刺激と運動での切り込みは有効

■諦めないで問題改善の目標をひとつに絞り、
ひとつずつ改善に向けて取り組んでいこう。必ず良くなっていく。

■科学的にデータを用いて重要性を伝える。
(理論武装してのぞむことが重要)
 
 いきなり全部をやろうとすると失敗してしまいます。
何かひとつだけを変えることで突破していけるそうです。
 
 
食べて 動いて よく寝よう!!
要は、
心・ふれあいを育てるためには、家庭における、「食」を、
自律神経を鍛え、生きる力を育むためには、「運動」を
キレないで、精神を安定させるためには、「睡眠」を、
大切にしなければならないのです。
 
 
 
高校生にむけてのアドバイス 
 特に私たち高校生をもつ保護者が知って
おかねばならないことは、「早寝・早起き・朝ごはん」に
「運動」を加えること。
そして、夜型になっている生活リズムの時間帯を
昼にスライドしていくことが重要だということです。
 
 運動する時間を昼に移動することでリズムが変わってきます。
もちろん、部活動を勧めることも有効です。
体育系でなければいけないということではありません。
文化系の部活でもいいのです。注意しなければいけないのは、
からだや脳を活発に動かし、
その満足感のピークを夜にしないことです。

 そして、体育系の部活動では練習の効率を上げる工夫も必要です。
長い時間練習することで、子ども達の帰宅時間を
遅くしては生活リズムの改善は到底できません。
短い時間で効果が得られる練習方法を日本体育協会が行う
講習や研修等で習得し、指導に活かすもの良いのではないでしょうか。

 以前、前橋先生の講演の後、直接、先生とお話できる機会を
いただき、高校生の子どもをもつ私たち親が1点突破をするなら、
どの方法が有効か聞いてみたところ、
「光刺激はとても有効です。朝起こす際に窓のカーテンを開け、
太陽の光を浴びせる。
もしベッドが窓から離れているところにあるなら、
窓の近くに移動させ、毎朝、太陽の光を入れてあげること、
そこから始めてみてください。
光の明暗環境はとても大事です。」と教えてくださいました。
 
 
高校生の感想
 昨年12月に糸満高校で前橋先生の講演会が行われました。
会場である視聴覚室は百名近い生徒で埋め尽くされていました。
前橋先生の「学習効率を高めること、良い学びをするために
生活を整える」という具体的な説明に生徒たちは
集中して聞き入り、一生懸命メモを取っていました。
 
 
 いくつかの説明内容と生徒の感想を紹介します。
 
●疲れている時にハードな練習をしても 良いフォームは身につかないし、技術の 向上にもつながらない。スカッとしてい る時に技術練習をすること。
●成長期に疲れる経験をすることは大事 だが、寝たら回復するくらいの疲れでな いとダメ。疲れが取れないのであれば、 体力に見合わない運動ということになる。 オーバートレーニングでは体力や技術 は向上しない。
●自律神経こそ生きる力、自律神経を鍛えよう。
《1年生 女子》
 
 
 食・運動・睡眠がとても大切だということが分かった。学力を上げるために、きちんとした生活リズムが大切。
《1年生 男子》
 
 
 前橋先生の話を聞いて自分のこれからの生活について見直すことができた。
《2年生 女子》
 
 
 保育に興味があったので、今日、講演を聞けて良かったです。また、今後のためになることも聞けたので、早速、今夜から早寝早起きを実践します。
《2年生 男子》
 
 
 睡眠はやっぱり大切だと思った。人との付き合いは精神面でも体力面でも成長することが分かった。
《3年生 女子》
 
 
 人とのかかわり、勉強、運動で自律神経を鍛えようと思いました。生活リズムを良くすることで、日々の生活を豊かにしたいです。睡眠が足りないと感じるので、もっときちんと睡眠をとろうと思いました。
《3年生 男子》
 
 
 何事においても向上させたいと思うなら、しっかりと睡眠をとり、朝ごはんを食べ、プラス運動が必要だと分かった。自分は教師を目指しているので、今日の講演はとてもためになりました。
 
 
 
負の連鎖を断ち切ろう
 今回は、前橋先生の講演で自分の生活リズムを見直すことに
つながった高校生がたくさんいました。
それをフォローしていく私たち親も、また同じような
意識をもっていなければ改善していくことは難しいと思います。
 現在、沖縄県は肥満児傾向の子どもの出現率が高くなっています。
親である私たち大人も車社会に慣れてしまい、
運動する機会を自ら作り出すことが少なくなってきています。
家庭の中で大人もいっしょに生活リズムを整えていくという
意識がなければ、「長寿県沖縄」の復活も難しいのではないでしょうか。
 
 沖縄県警の発表では平成21年度、
不良行為で補導された少年は三万四千人。
うち深夜徘徊で補導された少年は二万五百五十四人。
これに深夜の飲酒や喫煙等で補導された少年を加えると
二万五千六十五人となり、実に全体の74%を占めています。
 沖縄県の少年非行の特徴として、子ども達自身が
深夜徘徊に対してあまり罪悪感を感じておらず、
徐々にエスカレートし、重大な犯罪に至るケースが
多くなっているとありました。
 深夜に居酒屋やコンビニ、ファーストフード店、
スーパー、レンタルビデオショップ、ゲームセンター、
カラオケ、ショッピングモール等、様々な場面で
親子連れを見かけます。
そのような生活習慣が「大人といっしょであれば大丈夫」
「皆やっているから当たり前」
「これが普通だ」という意識につながり、
大人も子どもも深夜徘徊に対してのハードルが低い状況だと言えます。
 まず、私達大人が社会人としてのモデルであることを自覚し、
生活リズムを見直さなければなりません。
 いつかは私たちの子どもも結婚し、
親となる日が来るでしょう。
その時に子ども達にも正しい生活リズムが健康な心とからだ、
そして、学力を向上させるという知識が身についていなければ、
負の連鎖はいつまでも続いてしまいます。
 学校と各家庭とで子どもの生活リズムがいかに大切であるか、
今後のPTAの取り組みの中で浸透させていく必要があるように思います。

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